山野一とねこぢるy“個”展『失地への帰還』
会期: 2011-09-17 - 2011-09-26
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
アート
展覧会タグ:
漫画・アニメーション
平面
開催内容
Produce Unit SELECT(プロデュースユニット・セレクト)は9月17日(土)より9 月26日(月)まで、山野一とねこぢるy“個”展『失地への帰還』を渋谷ポスターハリスギャラリーにて開催いたします。
今回の個展では山野一名義とねこぢるy名義の絵画作品、併せて10数点を展示販売する他、ねこぢるのデビュー作である「ねこぢるうどん“デビュー作”」の原画と山野一名義の漫画作品の原画を参考展示。また、個展開催を記念して人形作家の森馨氏、漫画家の根本敬氏をゲストに迎えてのギャラリートークも催します。
山野一は1983年に『ガロ』でデビュー。カルト漫画家の極北的存在として『四丁目の夕日』『どぶさらい劇場』など、今も語り継がれ、読み継がれる強烈な作品群を生み出しました。
その後、妻であった故・ねこぢるが描いた絵に「言語化不可能なある種の違和感かもしれないけど、大人に解釈されたものではない生々しい幼児性というか、かわいさと気持ち悪さと残虐性が入り交った、奇妙な魅力」※を感じた山野は、ねこぢるのプロデューサー兼共作者としてまるでバブルの残り火の陰画のように隆盛を極めた90年代サブカル・シーンのメインプレイヤーとして『ねこぢるうどん』『ねこ神さま』『ぢるぢる旅行記』などの作品を共に生み出すことになります。
1998 年にねこぢるの死によってユニットとしてのねこぢるはあまりにも唐突な終わりを告げますが、その後、山野はねこぢるyの名の下に「にゃーこ」「にゃっ太」などのねこぢる時代のキャラクター、世界観を継承しながら山野作品の諧謔味、シュールなテイストを強く感じさせる名作『ねこぢるyうどん』を世に出します。
昨年、20数年ぶりに絵筆を執った彼は絵画作品の中でひたすら「にゃーこ」「にゃっ太」が登場する“記憶の中の情景”を描き続けましたが、今回、ついに山野一名義での絵画制作もスタートさせることになりました。
絵画制作においても山野一の名前を使うに至るまでの彼の心象風景や「失地への帰還」という意味深長なタイトルに込められた想いを私たちが知るまでにはまだ時間を要することでしょう。
しかし、そのあまりにも巨大な表現衝動と特異なベクトルの才能を持ち合わせた故に長年の不遇な時期を過ごすことを余儀なくされた山野一=ねこぢるyの新たな表現活動が、今、また本格始動しようとしていることは間違いないでしょう。
※『ねこぢる大全』下巻巻末の「対談 根本敬(特殊漫画家)×山野一(漫画家)」より、山野一のコメントを抜粋。