成瀬政博 写真展
会期: 2019-05-08 - 2019-05-19
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
写真
展覧会タグ:
開催内容
週間新潮表紙絵作家のもうひとつの世界です。
七年ほど前に、足を痛めて歩けない数年があった。そのころ、娘が買って使わずに放っておいたタバコの箱大の小さなデジタルカメラをいじることで、鬱屈した気持ちを紛らわせていることがあった。(中略)
部屋の中のモノ、窓から見える景色、テレビに映っていた画像、
そのうち、目の前に広げている新聞紙の写真、読んでいた本の中にある口絵写真、等々、印刷された画像の一部分を接写することが常態化していた。ぼやけたぼんやりとした画像が、ここちよく感じられたのだ。こんなことを続けていると、そのうちテレビを見ていても、焦点の合っていない背景のモノやけしきを見つめていることが多くなってくる。
そうした世界のぼんやりとした佇まいに、境界もなく、名前もなく、意味もなく、始めも終わりもない存在のやすらぎ、とでも言っていいような、心地良さ、美しさを、私はあのころ、覚えていたようなのだ。
作者コメントにかえて 写真集『blur』あとがき「ぼんやりとした佇まい」より抜粋