川鍋祥子写真展「空に」
会期: 2011-09-09 - 2011-09-25
参加クリエイター:
展覧会詳細
展覧会ジャンル:
写真
展覧会タグ:
レセプションパーティー
写真
開催内容
『空に』
七年に一度のハレの日
山里の見知った者たちだけで神社に奉納する柱を曳く
人々にのしかかっていた「ケガレ」を追い払うように
昨夜まで覆っていた分厚い雨雲が切れ
夜明けと共にあたりに陽が射しこめる
新たに建立された社に向かう人たちに笑顔がこぼれる
ゆっくりと建てられていく柱を人々が見つめる
上へ、上へ、空に…
人々の歓声と笑顔 「ケガレ」が「ハレ」へと浄化される
昔話の一幕のように、時間がゆっくりと流れ出す
[作品内容]
2010年は、長野県諏訪地方に平安時代から続く7年に一度の「御柱祭」の年。
「御柱祭」というと、諏訪大社での巨大な柱に乗る危険な祭として知られているが、
「小宮」と呼ばれる各地域の小さな氏神の社でも7年に一度同様に
山から切り出した柱を人力のみで神社までの道中を曳いて、最後に社殿を囲むように四隅に建てるという神事が営まれる。
自分も氏子の一人として、神聖な高揚感と共に綱を引く列に加わった。
祭の朝、前夜から降り続いた雨が止み、分厚い雲間から光が射した。
それと同時に人々から湧き上がった祈りにも似た「ハレ」の気に心を奪われながら祭の数時間を夢中で撮り続けた。
ほぼ全員が見知った顔、笑顔と歓声に包まれながら、昔話のような情景の一部に同化した。
2006年、この地は土砂災害に見舞われ、8人の死者がでた。
流された家々は徐々に建て直され、今年の春、やっと護岸治水工事が終わる。これまでに5年を要した。
災害時に倒壊した社の再建と御柱が重なった今回の祭は、いつにも増して
氏子たちの平穏であることへの願いと、復興できたことへの感謝の想いが強い。
「ケガレ」の日々から、束の間の「ハレ」へ。
そしてまた静かに「ケ」に戻る。
人々の日常の祈りの結実として存在する「ハレ」がここに確かに存在した。
この度の東日本大震災は、この土砂災害とは比べ物にならないくらいの大きな被害であるけれど、
いつの日か必ず復興できることを信じ、一日も早く被災された方々に笑顔が戻りますよう
心よりお祈り申し上げます。
被災された方々、今の日本へ、必ず復興できるという願いと祈りを込めて展示致します。