デザイナーで画家の父の元、幼少より美術に親しむ。美大受験予備校で学んだ後、独学で油絵を続けながら、広告会社勤務、実業団スポーツ選手、編集ライター、ジャズ歌手など社会経験を積む。Make a Dream Project 絵画部門顧問。主な仕事はYAMAHA Jr.ミュージカル舞台美術、寒菊銘醸日本酒ラベル、『プロが選ぶヴォーカルステージング読本』装画など。
石倉かよこは、ピンク基調の抽象画を描く現代アーティスト・ペインターです。
植物や風景などから着想を得て、極限まで単純化した形と、一瞬で目を奪う鮮やかな色彩、自由に歩き飛び跳ね走る線で表現しています。
また、モダニズム絵画に影響を受けて絵画の二次元性にこだわり、フラットな面の美しさを追求しています。
手法は主に、キャンバスにアクリル絵の具をメインとした水性系ミクストメディアで、他に、顔料、コンテなど多種類の画材と、コラージュや版表現などを併用することもあり、重なりによる素材の積層感とテクスチャー、明るく鮮やかなピンクのバリエーションを特徴としています。
近年では、桜に代表される春の色ピンクに、明るい未来への希望を込め、テーマとしています。
Pinkで「明るい未来への希望」を描く
春が近づくと、人はピンク色が気になり始めると言われています。花から連想するこの色は、寒く厳しい冬が終わり、暖かい春が来ることを想起させます。春は同時に、新たな門出や、幸せが来たことを例える代名詞でもあります。ピンクは、明るい未来を表す色でもあるのです。
石倉が美術の世界に入るきっかけとなったのも、17歳のとき一目惚れした「マゼンタ」という濃いピンク色でした。この色とずっと一緒にいたい、そうすれば何があっても希望を失わず未来を信じて生きていけると直感し、実際にこの色に助けられて前に進んでいます。
また、一言にピンクと言っても、数えきれないほどの種類があります。隣り合う色や形、重ねた色によっても、様々な表情を出すことができます。他の誰にも出せない特別なピンク色を作り出し表現することは、ライフワークの一つです。
春を彩る『SAKURA Pink』シリーズ
また、桜は石倉の原点とも言えるモチーフです。ピンクに様々な種類があることを教えてくれたのも桜でした。満開の桜は一見淡いピンクですが、花びらには付け根から濃いピンクの葉脈が走り、蕾は桃色ともいえる中間色に膨らみ、ガクは深いワインレッドの星形、幹や枝はこれらが生まれる前の凝縮されたピンク系の茶色。芽吹くころには周囲の山々さえうっすらとピンク色に染めてしまいます。桜は、その姿から取り巻く空気、匂い(桜の樹を伐ると、あたりは夢のような香りで満たされ、おがくずを集めて持って帰りたいほどだと言います)まで、どこまでも全身ピンク色なのです。
このピンクで、明るい未来への希望を人々に届けたいと考えています。
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