錫は紀元前から生活に密着した形で使われていた金属で今でもハンダの主成分として使われており、なくてはならない存在です。
最後の晩餐でも錫の食器が使われていたり、三国志で錫のお話が登場するなど、遡れば色々な時代が偲ばれます。
日本では遣唐使が初めて錫器を持ち帰ったと言われており、正倉院にも錫の薬壺が所蔵されています。
当初、朽ちない金属として神具や宮中、慶事の際に多く用いられていましたが、江戸時代になるとだんだん庶民の間に浸透していきました。 水をきれいにしたり、お酒をまろやかにしたり、花持ちを良くするなどの特徴から今でも多くの人に愛され続けています。融点が低く、柔らかいという物性においても面白さを備えており大きな可能性を秘めた金属です。
そしてもう一つ、愛される理由はその控えめな粋。
きっと特別な時間を運んでくれるはずです。
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