Shuffle|シャッフル 白金アートコンプレックス合同展覧会 / Heaven

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会 期
20110402日 -  20110430
開催時間
11時00分 - 19時00分
休み
日・月・祝休廊
※ 新素材研究所、榊田倫之建築設計事務所は、原則として毎週土曜のみ公開いたします。
この情報のお問合せ
山本現代:野中
TEL & FAX: 03-6383-0626 E-mail: n@yamamotogendai.org
※個別の作家・作品については、各ギャラリーへお問い合わせください。
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情報提供者/投稿者
開催場所

詳細

展覧会内容

■ 展覧会について
  まずは、シャッフルする。
  このビルの1 階から5階まで、シャッフルする。
  作家も作品も時代もジャンルも、凝り固まった価値観はすべてシャッフルする。
  シャッフルされたありさまを、ただ見る。
  そこからすべてがはじまる。

白金アートコンプレックス2周年を期に、全館あげての記念展のキュレーションを依頼された私は、瞬時に「シャッフル」というタイトルを思いつきました。このビルの4階には、私が30 年近く前から懇意にしてきた古美術のロンドンギャラリーのスペースがあります。
まずは、古美術のエッセンスが階下の現代美術ギャラリーに降り注ぐようなイメージを考えたのですが、児玉画廊、ナンヅカ・アンダーグラウンド、山本現代は、いずれ劣らぬ現代美術ギャラリーの強者で、それぞれに強烈な発信力をもった作家がいます。
そこでこの「シャッフル」では、それぞれの価値観をいったんご破算にして、作品自体も行き来するような構成を考えるようになり、各階ごとのテーマを設定しました。

ELEMENT / 1 階 児玉画廊
室町~桃山時代の根来塗りの漆器(London Gallery)と、池谷保、関口正浩、和田真由子(児玉画廊)らのテクスチャーにこだわったミニマルなペインティングが並びます。さらに貴志真生也(児玉画廊)による立体作品の上に根来を設置するなど、根来塗りの質感を軸としたコラボレーションが実現します。

CHAOS / 2 階 NANZUKA UNDERGROUND
田名網敬一、三嶋章義、中村純代、四谷シモン(NANZUKA UNDERGROUND)らとともに、西尾康之、村山留里子(山本現代)、さらに平安時代の蔵王権現像(London Gallery)などの立体作品が所狭しと林立します。さらに松井えり菜(山本現代)、そして誰も知らないだろう、008 年に77 歳で亡くなった私が敬愛する淺羽保治の大きな油絵が壁面を飾ります。

ENERGY / 3 階 山本現代
鎌倉時代の仏画、愛染明王像(London Gallery)と、小谷元彦(山本現代)による自らの血液を使ったシャボン玉の映像が交錯し、田中圭介、森靖(山本現代)らの過剰な立体作品も絡み合います。さらに田名網敬一(NANZUKAUNDERGROUND)、八木修平(児玉画廊)の作品も参入し、複層的なENERGY を現出させます。

UNIVERSE / 4 階 London Gallery
これまで関西で活動してきた本堀雄二の使用済み段ボールによる仏像を象った作品が、ロンドンギャラリーの不動明王像、地蔵菩薩像などを脇侍として屹立します。さらに長谷川等伯の屏風(桃山時代)、円山応挙の掛軸(江戸時代)、西尾康之(山本現代)の屏風、田中秀和(児玉画廊)の作品が配され、救済というテーマのインスタレーションが展開されます。

HEAVEN / 5 階 新素材研究所・榊田倫之建築設計事務所
杉本博司氏が飛び入り参加。これは私も制御できないのですが、杉本作品、杉本コレクションを駆使して、さらに阿弥陀二十五菩薩来迎図(London Gallery)を加え、近代日本の戦争をテーマとしてHEAVEN へと誘うインスタレーションが展開される予定です。さらに、榊田倫之建築設計事務所では、進行中プロジェクトの模型、大舩真言のペインティングを展示します。

会期は4 月2 日~30 日。
どうぞたくさんの方にご来場いただき、シャッフルされたこのビル全体を見ていただき、観客のみなさん自身もシャッフルされますよう。

                                           ゲストキュレーター 山下裕二(美術史家、明治学院大学教授)

■ 展覧会構成
1F  児玉画廊|Element (エレメント)
 現代美術: 池谷保、関口正浩、和田真由子、貴志真生也(児玉画廊)、山路紘子(NANZUKA UNDERGROUND)、できやよい(山本現代)
 古美術: 根来盆、杓子 室町時代 他(London Gallery)
http://koten-navi.com/node/6110

2F  NANZUKA UNDERGROUND|Chaos(カオス)
 現代美術: 貴志真生也(児玉画廊)、田名網敬一、佃弘樹、三嶋章義、中村純代、MUSTONE、四谷シモン(NANZUKA UNDERGROUND)、西尾康之、松井えり菜、村山留里子(山本現代)
 古美術: 金銅蔵王権現立像 平安時代 他(London Gallery)
http://koten-navi.com/node/6114

3F  山本現代|Energy(エナジー)
 現代美術: 八木修平(児玉画廊)、田名網敬一(NANZUKA UNDERGROUND)、小谷元彦、西尾康之、田中圭介、森靖(山本現代)
 古美術: 愛染明王像 鎌倉~南北朝時代(軸)、不動明王像(木彫) 他 (London Gallery)
http://koten-navi.com/node/6117

4F  London Gallery|Universe(ユニバース)
 現代美術: 田中秀和(児玉画廊)、本堀雄二(NANZUKA UNDERGROUND)、西尾康之(山本現代)
 古美術: 長谷川等伯 桃山時代、円山応挙 江戸時代 他(London Gallery)
http://koten-navi.com/node/6119

5F  新素材研究所|Heaven(ヘヴン)
 現代美術: 杉本博司、山口晃、榎本千花俊 他+杉本博司 個人コレクション
 古美術: 阿弥陀二十五菩薩来迎図 鎌倉時代(London Gallery)
榊田倫之建築設計事務所
 現代美術: 大舩真言 
 建築: 榊田倫之建築設計事務所、進行中プロジェクト
http://koten-navi.com/node/6129

関連イベント

オープニング 2011年4月2日(土) 午後5時~8時

■ 出展作家略歴
【児玉画廊】 Tel. 03-5449-1559 Fax. 03-5421-7002 info@KodamaGallery.com
[池谷保]
1982年静岡県生まれ。 油絵具を画材というよりも固形の素材のように扱った平面作品を制作している。棘や紐のように激しい起伏を成すものや、色の塊として極度に隆起する もの、溶岩のように量感をもって流動するようなものとして、色彩そのものを立体的に捉え直したような独特のマチエールで注目を集める。色彩の多様さ、厚み のある絵具の量感、点や線の無限なまでの連続性によって独自のテクスチャーを生み出し、迫り来るような力強さを画面に与えている。トヨタアートコレクショ ン(2008年)、「VOCA」(2009年)など。
[関口正浩]
1984年東京都生まれ。 描写の上手い下手に左右されず、コンセプトと方法論にさえ従えば誰にでも作る事の出来る絵画を意図し、絵筆を放棄し、油絵具を膜状に乾燥させて キャンバスにコラージュするという手法で平面作品を制作。色の膜を貼付ける際の身体的動作の必要性や、膜を重ねることによって副次的に画面に現れる襞や裂 け目といったこの手法ならではの特質も加味され、「絵画」あるいは「平面」という概念の普遍性に根源的な問いを投げかけているとも言える。「 VOCA」(2011年)に出展。
[田中秀和]
1979年兵庫県生まれ。 いかにして無意識的な描画を絵画として成立させるかをテーマとして、今の時代のコンテクストにおいてこそ可能となる抽象表現の様々な方法論に取り 組む。オートマティズム、コラージュ、レイヤーの概念、グラフィティーやスプレーペイントなどのストリートアート、ライブペインティングの即興性、時には リズムやサンプリングといった音楽的要素までも引用して、独自の抽象表現を追求している。近年は旧作のドローイングなどの画像をプロジェクターでキャンバ ス上に投影し、その投射角度や拡大縮小などの画像操作による様々な変形を二次的に加え、そうして得られた図像を絵筆でなぞってキャンバスに再構成してい く、というプロセスの絵画を制作している。
[八木修平]
1985年兵庫県生まれ。 主にアクリル絵具による抽象的な平面作品を制作している。あえて筆触が残るように、あるいは絵具を垂れ流した痕跡が分かるように着彩すると同時 に、次に塗り重ねる色面が混じり合わないようにマスキングテープを駆使して色彩の断層を作り、そうする事で不自然なまでに鮮やかなテクスチャーの相違を一 つの画面上に幾重にも生み出している。
[和田真由子]
1985年大阪府生まれ。 実際の建造物の構造に則った手順で、半透明のメディウムやニスを塗り重ねて描いていく平面作品、あるいは、ドローイングを描くような視点で「鳥」 や「ヨット」などのモチーフから得た平面的なイメージを、簡素な素材のブリコラージュによって物質化した立体作品など、平面性および立体性をいかに乗り越 えるかをテーマとした作品制作を続けている。和田の作品においては、そのコンセプトに則るならば、一般的には平面と目される作品は「立体造形」であり、立 体として認識される作品は「絵画」として理解されるべきものとなる。

【NANZUKA UNDERGROUND】 Tel. 03-6459-3130 Fax. 03-6459-3150 info@nug.jp
[田名網敬一]
1936年、東京京橋の呉服問屋に生まれる。武蔵野美術大学デザイン科を卒業。1975年から1980年まで、日本版『月刊PLAYBOY』誌の初代アートディレクターを務める。1991年、京都造形大学教授に就任。60年代よりグラフィックデザイナー、イラストレーター、アーティストとして、メデジアやジャンルにとらわれず、むしろその境界を横断して精力的な活動を続けている。伝説的ロックバンド「モンキーズ」のアルバムカバー等、日本におけるサイケデリックアート、ポップアートの第一人者として語られる一方、今日の現代美術における「アートとデザイン」、「アートと商品」、「日常と美の関係」といった問題に挑戦を続けてきた先駆者としても再評価されている。
[佃弘樹]
佃弘樹は、1978年香川県生まれ、平面構成的な抽象表現を得意とし、光と影、建築と自然、自然認識と錯覚といったテーマを基に風景画を描いているアーティスト。佃の作品は、黒色のインクと鉛筆、木炭の併用によって生み出されます。直線的な人工物と対比する自然、影に潜む色彩など佃の描き出す世界は、どこか未来的な雰囲気を持ちつつも、私たちの生きている現在の文明社会を鋭く反映している。
[三嶋章義]
1978年大阪府生まれ。映像とミクストメディアを軸に作品を制作している。世界中の土着的な文化にその発想を得て制作している三嶋は、人種の枠を超えた一つの人類というテーマを掲げている。全ての地域的、人種的な優劣が撤廃され、自然と融合された未来の世界を描く三嶋の作品は、人猿類とも鳥獣とも、あるいは魚類は虫類とも思えるような不思議な複合生命体たちである。三嶋の作品は、むしろそれが主体となって私たち人類の過去と現状を鋭く見つめている。過去に、個展『Elements』(08年、DIESELDENIM GALLERY AOYAMA、東京)、「Family」(09年、Nanzuka Underground、東京)など。
[MUSTONE]
MUSTONE は、1976年徳島生まれ、多摩美術大学立体デザイン学科を卒業。以後「カングロウインザダーク」や「ネコマン」といったオリジナルコミックを発表する傍ら、ストリートにおける表現活動にて、その創作基盤を築き上げてきたアーティスト。また、デジタルとアナログを融合させた唯一無二のライブペインティング(愛地球博覧会他)を行うなど様々な活動を続けてきた。自身の特別な出会いと体験を基に、これまで覗き見たパラレルワールドに生きるモノたちの形象である「妖怪」をテーマにした作品を、オイルチョークや、シリコン樹脂、スプレーでを用いて制作をしている。
[本堀雄二]
1958年神戸市生まれ、愛知県立芸術大学彫刻専攻大学院修了。2004年以降、仕様済みダンボールを用いた仏像作品の制作を始め、昨年のINAXギャラリーでの個展にて東京のアートシーンでも高い評価を受けた。野菜や果物の仕様済みダンボールを利用したポップな色彩、その断面の作る独特の波状の空洞、透けて浮かび上がるシルエット。いずれも本堀の生み出す仏像にのみ見出される特有の表現は、エコロジーを指標するこの21世紀初頭の時代を象徴しているアートと言える。過去に「神戸ビエンナーレ」(2009)などに参加、また昨年秋には鎌倉の長谷寺にて紅葉ライトアップイベントに参加する等、その活躍の場はますます広がっている。
[山路紘子]
1983年三重県生まれ、武蔵野美術大学大学院造形研究か美術専攻油絵コース終了。過去に「アートアワード東京」「群馬青年ビエンナーレ」(08年、群馬県立近代美術館、群馬)や、「所沢ビエンナーレ引込線」(09年、埼玉)などに出展し、高い評価を受けている。山路は日常的な風景やモチーフを効果的にトリミングし、それらをリズミカルに再構築する手法で印象的な画面を作り出す。マクロ的な視野とミクロ的な視点を同時に組み合わせながら生み出される抽象的な画面は、山路が繰り返す対象との対話の蓄積でもある。

【山本現代】 Tel. & Fax. 03-6383-0626 n@yamamotogendai.org
[小谷元彦]
1972年京都府生まれ、東京藝術大学美術学部彫刻科卒業、同大学院美術研究科修了。木彫をはじめ、毛皮や剥製、また写真や映像に到る多用な手法と素材を使い、実体のない存在を作品にとらえながら、美術史における彫刻の概念に挑み、その新たな可能性を追究している。2003年にはヴェネチア・ビエンナーレに日本代表作家として参加。国内でも山本現代での個展をはじめ、「Phantom-Limb」(1997年、P-HOUSE)、「Modification」(2004年、キリンプラザ大阪)、「Hollow」(2009年、メゾエルメス)、「幽体の知覚」(2010年、森美術館)など、積極的に発表を続けている。
[田中圭介]
1976年千葉県生まれ。東京芸術大学美術学部彫刻科卒業。同大学美術学部修士課程彫刻科修了。巨大な彫刻から、建物を支える柱のような作品、またレリーフなど、古典的な木彫技術とその上にアクリルペイントで彩色を施す作品を制作する。その彫刻は、自然の風景の一部を切り取ったような意匠だが、よくみれば植林された均一な山や森であったり、小さな墓や観覧車、鳥居など、実は人工的な自然を、どこかユーモラスに彫り込んでいる。主な個展に「青山」(08年、山本現代、東京)。主なグループ展に「アトリエの末裔あるいは未来展」(06年、旧平櫛田中邸、東京)、「物語の彫刻」(07年、東京芸術大学 大学美術館陳列館、東京)など。
[できやよい]
1977年大阪府生まれ。京都芸術短期大学卒業。フィンガースタンプと精密描写によって描き込まれた極彩色の作品で国内外から注目を集める。1999年「日本ゼロ年」展(水戸芸術館、水戸)でデビューし、2000年「第7回ヴェネツィア・ヴィエンナーレ建築展日本館」(ヴェネツィア)に最年少で参加。主な個展に「できやよいマネキン展̶ほにゅうびんー」(00年、リトルモアギャラリー、東京)、「パイナップル」(10年、山本現代、東京)、主なグループ展に「アージェント・ペインティング」(00年、パリ市立近代美術館、パリ)、「にっぽんの、ななかむら」(キリンプラザ大阪、大阪)、「第7回リヨンビエンナーレ」(03年、リヨン)、「21世紀の出会いー共鳴、ここ・から」(04年、金沢21世紀美術館、石川)、「六本木クロッシング2007:未来への脈動」(07年、森美術館、東京)など。
[西尾康之]
1967年東京都生まれ。武蔵野美術大学彫刻科卒業。指で粘土を押して雌型を作る独自の手法「陰刻鋳造」を中心に、油彩、墨絵など多彩な表現方法を用いて、死の恐怖やトラウマを克服するための作品を「エロス」と「タナトス」という二大テーマに沿って制作している。2000年「キリンアートアワード」奨励賞受賞、「岡本太郎現代美術館」大賞に入選。2002 年『GEISAI#1』でグランプリを受賞。主な個展に「リヴァーシブル」(02年、ナディッフ、東京)、「優麗」(06年、山本現代、東京)、「ドラウン」(09年、山本現代、東京)など。
[松井えり菜]
1984年岡山県生まれ。多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業、東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画修了。予備校の文化祭で大賞を受賞した作品『えびちり大好き』が同校の広告として美術雑誌に掲載され、同作品でGEISAI#6の金賞を受賞。それをきっかけにカルティエ現代美術でのグループ展「私はそれを夢見る」に参加し堂々の国際デビューを果たす。2007年に初個展となる「わたしの小宇宙(コスモ)」を山本現代にて開催。同年11月にバルセロナのジョアン・ミロ財団で個展を行うなど精力的に活動中。
[村山留里子]
1968年秋田生まれ、秋田在住。10代後半から独学で染色を始める。自らが染め上げた生地を細かく縫い合わせた布作品やビーズ、造花、アクセサリーなどを即興的に組み合わせた立体作品を発表。いくつかのブランドとコラボレーションし、ファッション界でも一躍話題になる。主な個展に「奇麗の塊」(02年、ナディッフ、東京)、「彼の世へ続く風景」(05年、山本現代、東京)、「気高い手」(07年、山本現代、東京)、「色とマント」(09年、山本現代、東京)など。
[森靖]
1983年愛知県生まれ。東京藝術大学美術学部彫刻科卒業、同大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。通俗的なアイコンやシンボル、神話などを変容させた姿を、生乾きの木材と鑿のみを用いて驚異的な描写力で掘り起こす独自の表現を続ける。主な個展に「好きにならずにいられない」(10年、山本現代)、主なグループ展に「第4回アトリエの末裔あるいは未来」(08年、旧平櫛田中邸、東京)、「第12回岡本太郎現代芸術賞展」(09年、川崎市岡本太郎美術館、神奈川)、「彫刻-労働と不意打ち」(09年、東京藝術大学美術館、東京)、「TDW-ARTジャラパゴス展」(10年、東京デザイナーズウィーク、東京)など。

【London Gallery】 Tel. 03-6459-3308 Fax. 03-6459-3309
[四季柳図屏風 長谷川等伯筆]
長谷川等伯(1539~1610)は、安土桃山時代に活躍した同時代を代表する絵師。国宝「松林図屏風」(東京国立博物館蔵)が特に著名。この屏風は近年発見され、長谷川等伯の筆と判断された。総金地に柳と柴垣を描く簡素な構成であるが、右隻には、若葉を茂らせる春の柳と風にそよぐ夏の柳、左隻には、落葉が始まった秋の柳とうっすらと雪の積もった冬の柳が叙情的に描かれている。金碧画でありながらも水墨画のような趣を漂わせる作品。「対決―巨匠たちの日本美術」展(2008年・東京国立博物館)出品作品。
[根来]
根来は、黒漆を塗った上に朱漆を塗り重ねた漆器のこと。その名が示すように、本来は根来寺(和歌山県)の仏具や什器として作られたものが根来塗であるが、現在ではそれに比肩するものを根来と称している。根来は、長年使用されることで朱漆が徐々に剥がれ、その下の黒漆が浮き出てくる。時代を経るうちに自然に現れてくるその味わいが魅力となり、何百年もの間大事に伝えられてきた。根来はまさに日本的な美を体現している。また、色だけではなく、あくまで実用の道具類として造られた単純明快かつ洗練された形も見どころである。

【榊田倫之建築設計事務所】 Tel. 03-5422-9736 Fax.03-5422-9737
[大舩真言]
1977年大阪府生まれ。京都教育大学特修美術科日本画専攻卒業、同大学研究科修了。和紙に鉱物の粉を重ね、心象に映る景色を描き出す。物質的質量を伴いながら空間的奥行きを感じさせる画面は、対峙する者の中で具体性を帯び、鑑賞そのものを体験に置き換える。主な展示に「BIWAKOビエンナーレ」(10年、滋賀)、「1 Puissance infini」(09年、Espace Topographie de l'art 、パリ)など。
[榊田倫之]
1976年滋賀県生まれ。京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科博士前期課程修了後、株式会社日本設計入社。2003年榊田倫之建築設計事務所設立。その後3年間、建築家岸和郎の東京オフィスを兼務。東京・上海でのプロジェクト(ライカ銀座店・ルナディミエーレ表参道ビル・上海丹桂軒等)を担当する。2008年より新素材研究所取締役、IZU PHOTO MUSEUMを担当する。現在、京都造形芸術大学非常勤講師。

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