開催時間 |
11時00分 - 19時00分
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休み |
日・月・祝
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入場料 |
無料 |
この情報のお問合せ |
ARATANIURANO : 清水、古市
Tel:03-5422-8320 Fax:03-3444-1224 Mail:info@arataniurano.com 108-0072 東京都港区白金3-1-15 白金アートコンプレックス2階 山本現代 : 李 Tel:03-6383-0626 Fax:03-6383-0626 Mail:i@yamamotogendai.org 108-0072 東京都港区白金3-1-15 白金アートコンプレックス3階 |
情報提供者/投稿者 |
住所 |
〒140-0002 東京都
品川区東品川1-33-10-3F |
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最寄り駅 | 天王洲アイル |
電話番号 | 03-6433-2303 |
この度、白金アートコンプレックス2F ARATANIURANO と3F 山本現代におきまして、10 月5 日(土)から11 月2 日(土)まで、合同グループ展「未来の体温 after AZUMAYA」を開催する運びとなりました。本展は、昨年鬼籍に入られたキュレーター東谷隆司氏を偲び、かねてから親交の深かった美術批評家の椹木野衣氏にキュレーションを依頼し、5 名のアーティストを選出、構成した展覧会です。
東谷隆司氏は1999 年に世田谷美術館にて「時代の体温」という日本の美術史に残る展覧会を企画しました。そして、横浜トリエンナーレ、東京オペラシティアートギャラリー、森美術館といった首都圏の現代美術の中心となる施設の立ち上げに関わった後に独立。「ガンダム 来たるべき未来のために」(サントリーミュージアム天保山ほか巡回、2005-2007 年)などを手がけました。複数のキュレーターのうちの一人として参加した「釜山ビエンナーレ2008」では実力を認められ、2010 年の同ビエンナーレでは総合コミッショナーを務めるなど国内外での活躍を期待されておりました。
東谷氏の見据えた未来を思い、今を生きている私たちはどのような未来を作っていくのか。時代の体温を感じながら表現を続けるアーティストたちを通じて、そのことを考えるきっかけとなりましたら幸いです。
つきましては、是非本展をご高覧頂きますよう、皆様のご来場を心よりお待ち申し上げております。
敬具
ARATANIURANO
山本現代
キュレーター 椹木野衣
出品作家 赤城修司・竹内公太・高橋大輔・吉村大星・東谷隆司
|本展によせて|
椹木 野衣 Noi SAWARAGI
何年、何十年、何百年先になるかわからないけど、原発が撤廃された時代の人々に知ってもらいたいこと。「原発がある時代にも、それに反対する人々は数多くいました」。少ない文字数ですが、このメッセージを書いている人間、転送している人々は、その意思を表明していた人たちです。 東谷隆司 @AxZxMxYx on twitter 2011年4月11日
本展は、昨年の10 月16 日、はからずも自死に至ったインディペンデント・キュレーター、東谷隆司(以下、東谷と敬称略)に捧げる企画である。私と故人との最初の出会いは、東谷が東京芸大在学中に学内で開かれた特別講義終了後、熱っぽい表情で挑むように質問にやってきたことに始まる。私が最初の著作『シミュレーショニズム』を出す前であったから、まだ1990 年のことだ。以来、東谷とのつきあいは紆余曲折を経ながら20 年以上にわたった。私がかつて大森に所在したレントゲン藝術研究所で日本の美術界に向けた具体的な活動を始めたとき、彼の顔はすでにそこにあった。1999 年という世紀の節目を控えた年に、水戸芸術館で「日本ゼロ年」展を開いたときも、設置の段階からたびたび彼は会場を訪れていた。その後、当時、大阪のアートの拠点であったキリンプラザ大阪では、大竹伸朗「ダブ景」展を初め、いくつもの展覧会を共同で開催した。2003 年3 月にイラク戦争が始まったときに始めた反戦デモ・ユニット「殺す・な」には、毎回黒い一弦ギターと革ジャンで豪雨のなかでも参集してくれた。狭いカラオケボックスで、何度朝まで飲み、歌い明かしたことだろう。僕にとって東谷は友であり同志であり、そして弟のような存在でもあった。
そんな東谷は、もうこの世界のどこにもいない。草の根を分けて探しても、二度とその姿を見ることはない。しかしだからこそ、こ
の展覧会のキュレーションを受けてみようと強く思った。
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本展は、東谷が生前に交流の篤かった作家を集めたものでも、彼の考えを斟酌し、できるだけ忠実に展覧会として再構成したものでもない。そんなことは不可能だ。そうではなく、東谷があの震災と原発事故の直後に「未来」の人たちに向けてツイッターに残した短い一文をひとつの導入として、私自身がまったく新たに作家の人選をし、立ち上げたものだ。その際、故人が最初にキュレーションを手掛けた展覧会「時代の体温」(世田谷美術館、1999 年)にならって(=after①)、本展を「未来の体温」と名付けた。東谷のいなくなった世界(=after②)から、私たちが未来へと向かう「時代の体温」をもういちど計ってみようと考えたからだ。また「未来」の一語には、東谷の仕事を代表するもうひとつの展覧会「GUNDAM ―来たるべき未来のために―」(サントリーミュージアムほか、2005 年)も掛けている。
東谷は自身のことをインディペンデント・キュレーターと名乗ることを好んだ。日本では馴染みの薄い響きだが、東谷にとって、語の力点は「キュレーター」ではなく「インディペンデント」であることに置かれていたはずだ。インディペンデントとは、「自らを頼る」野良の精神に通じている。実際、東谷は「野良のキュレーター」だった。組織に殉ずることをせず、分け隔てすることなく人と接し、ブルースメンのように時と場所を移動し、その果てに姿を消した。
その東谷を、もう一度私たちの「未来」に向けて胚胎させてみよう。私たちひとりひとりの脳髄のなかで、もう一度まっさらな胎児となり、いつかふたたび血まみれで再誕してくるのを待とう。その最初の兆しを捉えるのが、本展のねらいである。
(2013 年8 月23 日・記)
パフォーマンス 2013 年10 月16 日(水) 白金アートコンプレックス3F 山本現代にて
山川冬樹による、東谷隆司の遺作「DIE IN」を用いた死者との「合奏/饗宴/共演」
午後7 時開場・7 時30 分開演、 入場料: 1000 円(1 ドリンク付き)
協力 HARMAS GALLERY, SNOW Contemporary